Xpand!2総括。

この夏作った曲にXpand!2を使いまくりました。

プリセットを試し弾きしただけの曲も無数にあります。(笑)


使っていて気づきました。

Xpand!2はシンセですね。

プリセットの最初にシンセが並ぶ意味がようやく判りました。


そして、レイヤーを楽しむ音源だと思います。


例えば、パッドを弾いていると複雑な変化が欲しくなる。

そこで他のパッドやテクスチャーをサクッとレイヤーする。


同じようにパッドを弾いていて音に芯が欲しくなる時がある。

そこでピアノやギターなどをサクッとレイヤーする。


この音源の設計思想の中にはこのような使い方が含まれていると思います。


プリセットとして保存できるエフェクターがほとんど空間系なのも納得です。

楽器特有のエフェクトをパートの中に含めてしまって、ユーザーはプリセットを選んで曲に合った空間設定をする。

合理的です。



この音源の素晴らしいところは、プリセットとその元になるパートをしっかり作ってあることです。

と言うことで、プリセットの説明開始!


Soft Pads


Aeronaut+


パッドと効果音が鳴っている面白い音です。

ランダム周期でスピードが変わる効果音が鳴っています。

EffectDepthを強めると拡散してテクスチャーのようになります。

Pad Levelを下げればFXを目立たせることもできます。

Cutoff(フィルターのカットオフ周波数=その周波数以上(以下)をカットします。)はパッドに影響します。

フィルターエンベロープでCutoffが下降してきますが、その下限の設定にもなります。

エンベロープはフレキシブルでCutoffをAutomationしてもしっかり変化してくれます。

EffectDepthを上げるとPhaserなども聞こえてきます。

PhaserのスピードはPhaserSpeedで調整できます。

AttackとReleaseは全体に影響します。

Attackを早めるとスピーディーに発音します。

Releaseが0でもEffectDepthが強いと残響が残ります。

基本的にはEffectDepth強めAttack遅めのパッドとして使うのがいいと思います。



Heavenly Bell Pad


Celepad+とPolysynthsのUndercurrent+のレイヤーです。

・+53 Celepad+はウォーミーなパッドとベルのレイヤーです。

StartTimeはサンプルの再生開始位置です。最大にするとベルのアタックが感じられないパッドとしても使えます。

ヴェロシティー「強めだと上がりのみ」、「弱めだと上がって下がる」フィルターエンベロープが設定されています。

Cutoffは上がって下がるエンベロープの時にどこまで上がるかを決める効果もあります。

この音に限りませんが、Resonanceを最大にすると発振するので変な音としても使えます。(笑)

Fruity Envelope ControllerでCutoffをランダムにするとさらに面白いです。

・Undercurrent+は「ビブラートがかかったワイドなノコギリ波」と「ベル」のレイヤーです。

Balanceで混ぜ具合を調整できます。

FXMixを上げるとリバーブがかかり奥に引っ込みます。

ベルの高音域で若干エイリアスノイズが乗ります。

下降するフィルターエンベロープがかかっています。



+03 Siberia


Deep Attack+とStrings Voice+のレイヤーです。

C3(※)とそれ以下でPART Aが鳴ります。

※Xpand!2ではC3ですがピアノの中央のドなので普通はC4です。(FL STUDIOではC5です。見事にバラバラですね。笑)

・Deep Attack+はパーカッションとボーカルパッドのレイヤーです。

PercLevelでパーカッションの音量を調節しますが最小にしても小さく鳴ります。

カットオフにベロシティーセンスが付いています。

・Strings Voice+はシンセストリングスとボーカルパッドのレイヤーです。

EQは低域に合わせて高域をもちあげます。(フラットに近づけます。)



+04 Evil Frog


Organ Swirl+とOcar Pad Maker+のレイヤーです。

ローミッドを演奏するとまさにエビルフロッグという感じです。

パッチング・センス抜群ですね!

・Organ Swirl+はウェーブテーブルで音を変化させるオルガンです。音高が高くなると煌びやかになります。

BendTimeはピッチベンドでしゃくりあげます。上がりきるまでの時間を設定します。0%で実質無効になります。

DelayLevelはテンポシンクしたピンポンディレイの効果量です。FX1FX2と関係ない独立したエフェクトです。

Action DecayはWaveTableの変化のフェーズだと思います。(少しずつ動かしながら演奏するとよく判ります。)

・Ocar Pad Maker+はビブラート付きのオカリナです。

SMART KNOBSでフィルターのスィープをコントロールできます。

Cutoffを基準として、FilterEnvを50%から小さくすると下降、大きくすると上昇します。

FilterTimesが変化のスピードです。



+05 Airborne


エアリーなパッドです。オートパンとディレイがかかっていますがオフにできません。

上がってから唐突に下がるフィルターエンベロープがかかっています。FilterTimesが変化のスピードです。

EffectMixはEQ(※Xpand!2のイコライザー)とリバーブです。



+06 Scanner Pad


テンポシンクしながら左右にフィルタースィープするパッドです。

テンポシンクしないモノラルのトレモロもかかっています。

Rateはオートパン&スィープのスピードです。

WaveSweepはスィープ周波数をどこまで上げるかの設定になります。※ローパス的に考えると判りやすいです。

Cutoffはハイパスです。※通常はローパスのことが多いので設定には注意が必要です。

EffectLevelを上げるとLoFiピンポンディレイがかかり奥に引っ込みます。さらに上げるとウェットのみの音になっていきます。



+07 All Angels


Angels+とMale Eee Choir Pad+のレイヤーです。

Angels+はコーラスとシンセパッドのレイヤーです。

FX Levelがリバーブ、Pad Levelがパッドのレベルです。

※高域に変なピークがあります。ピアノの最低音で弾くと変なピークが4000Hz付近まで降りてきます。

必要に応じてハイカットしたり、ローエンドで演奏しないようにした方がいいと思います。

Male Eee Choir Pad+はコーラスパッドです。

Chorus Depthはコーラスのミックスレベルです。

Filter Envは50%以下で「下がって上がり」、50%以上で「上がって下がり」ます。

Cutoff周波数を基準とするので、前者はCutoff大きめ、後者はCutoff小さめが理想です。

※シンセで考えるとFilterEnvはAmountです。12時を0として「マイナスに振るとAltになる」と言うことです。

Delay Mixはウェット/ドライのレベルなので大きくするとウェットのみになります。



はい。ここまで。

Xpand!2の攻略サイトを作っている訳ではありませんからね。(笑)


最初の7つのプリセットを解説してみました。

なぜこれを書いたかというと、プリセット一つ一つに魂が込められていることに気付いたからです。


プリセットをどんどん聴いて行って「欲しい音に近い」と思ったらSMART KNOBSを観察してみる。

すると、調整したい要素のノブがあり、感性にジャストフィットさせることができます。


つまり、この調整幅も含めてプリセットなんですね。



プリセットをしっかり作ってある総合音源は楽しいです。

今は使っていませんが、ハードウェアの総合音源(Roland2台とKorg1台)を持っています。

買った当時はプリセットを一つずつ選んで弾いていくだけでめちゃくちゃ楽しかったです。


Xpand!2を使っていてあの楽しさを思い出しました。


実はXpand!2以外にもソフトウェアの総合音源を持っています。

M1Le、Digital Synsations、SONAR付属、CUBASE付属、REASON付属。

これらの音源を最高と思う人も多いと思います。


そういえば、CUBASE付属のHALion Sonic SEとXpand!2はインターフェイスの一部が似ています。

↑両者とも音色用に選定されたエフェクターのつまみが並んでいて便利です。

決定的に違うのは、HALION SONIC SEはマルチティンバーでXpand!2はレイヤーを重視していることです。


ちょっと脱線しますが、画像の通り、CUBASE上ではFL STUDIO VSTiも使えます。

FL STUDIO VSTiはFL/VSTi/DXi音源を16チャンネル×レイヤーで使えます。

例えばCUBASEで曲を作り、音源出力やミックスをFL STUIDIO VSTi上だけで行うことも可能です。


FL STUDIO VSTiはREWIREも使えます。

CUBASE→FL STUDIO VSTi→REASONと繋ぐと、REASONの音源をFL STUDIOのエフェクターに通せます。

※REWIREはDAWとは別にプロジェクトを管理する必要があります。CUBASE上でフリーズさせる手もあります。


Xpand!2外で調整できる要素もあります。


例えば、マリンバやオルゴールは拡がりを出すためにフェーズをわずかにずらしてあります。

シンセでもよく使うテクニックですね。


この拡がりをキャンセルしたい場合はフェーズをオフセットします。

FL STUDIOの場合、Fruity Stereo ShaperのDELAYで調整できます。


聴きながら適当に調節すればいいのですが、自分のような完全にジャストにしたい変態もいますね。(笑)

Fruity Stereo Shaperは1万分の1秒まで設定できますが、それでも完全にジャストにはできません。

例えば音源設定をCD音質の44.1KHzにしている場合、4~5サンプルの誤差が出ます。

完全にジャストにするには右クリックしてType in value...に以下の数字をタイプします。

Marimba 0.2972

Xylophone 0.2943

Music Box 0.3005



…書けば書くほど脱線するのでまとめます。(笑)


99%オフの表示を見て興味を持った音源でしたが、ちゃんと$99.99の価値はあると思いました。

変なピークが少なく音質的な使い勝手もいいです。

これからもずっと使っていこうと思います。