FL STUDIOの新プラグイン、トランジスタ・ベース。(Transistor Bass)

Image-LineのフォーラムでFL STUDIO 12.3.1 betaが公開されていました。

新プラグインが追加され、いくつかのプラグインがベクター化されています。

今回ベクター化されたプラグインは、今までよりも忠実に再現されている感じです。

みにくく使いづらくなってしまったSytrusも修正されたらいいな。


ということで、さっそく新プラグインのTransistor Bassで遊んでみました。

Transistor Bassはシーケンサーが楽しいベースシンセです。

128種類の演奏パターン×128種類の音色を組み合わせて演奏できます。

(演奏パターンを使わずに鍵盤やピアノロールで音階を演奏することもできます。)


マニュアルにはRolandのTB-303エミュレーターとあります。

TB-303を使った事はありませんが、このプラグインを少し使っただけでどんな動作をするか判ります。

シンセを使った経験があれば、音作りも非常に簡単です。


プリセットのしくみ。


プリセットには128種類のプログラムがあり、そのままC0~G10の128鍵に対応します。

鍵盤を打鍵したりピアノロールにノートを置くだけで対応するプログラムを演奏できます。

それぞれのプログラムにはPATTERN(演奏パターン)とBANK(音色バンク)が関連付けられています。

各128種類(0~127)あり、自由にエディットできます。



各機能の解説。


4段に別れているので解説も段数で別けました。

主に1段目と2段目で音作り、3段目は空間系エフェクト、4段目はシーケンサーです。


1段目

最上段右のアイコンで表示を1段~4段まで切り替えます。

▼で配色をきりかえます。PATTERNとBANKのコピー/ペーストもできます。


AF - 点灯していると現在演奏してるプログラム(と対応したPATTERNとBANK)に切り替わります。

・消灯した時のプログラムを表示し続けます。主にエディットを続けるために使います。

PROGRAM - 「プログラム名」兼「対応する音階」です。※88鍵の鍵盤はA1~C9に対応します。(21~108番)

PATTERN - 演奏パターン番号と名前です。4段目のシーケンサーでエディットします。

TRANSPOSE - 移調します。

BANK - 音色番号と名前です。1段~3段でエディットします。

READ / WRITE - 音色をリコール/音色を確定します。

・音色をエディットしてもWRITEを押す前ならREADでエディット前に戻すことができます。

・エディットしたあと「WRITEを押して確定」すると「READで呼び出される音色」になります。


TUNING - ±1オクターブまでチューニングできます。

WAVEFORM - 波形の混ぜ具合を設定します。右に回すとノコギリ波、左に回すと矩形波になります。

CUTOFF - フィルターのカットオフ周波数です。

RESO - カットオフ周波数付近を強調します。

ENV MOD - プラック(カットオフが降りていく)エンベロープのかかりの強さです。

DECAY - ENV MODのエンベロープのディケイの長さです。※ACCENTが付いたノートは除きます。

ACCENT - シーケンサーのACCENTの強調度合いを設定します。



2段目

TWEAKS / 微調整項目。

HP - ハイパスフィルターです。右に回すほど低周波をカットします。

MIN DECAY - ENV MODのディケイの長さの基本値です。1段目のDECAYはこの値からのプラス分になります。

KEY FOLLOW - ノートの高低によってカットオフ周波数を増減します。-100%~+100%で設定。

※「TB-303には無い機能」とのことです。

LFO->PW - LFOでパルス幅を動かす度合いです。右に回すほど大きくなります。左いっぱいにまわすとOFFです。

LFO RATE - LFOでパルス幅を動かすスピードです。右に回すほど早くなります。

PW - パルス幅を調整します。左いっぱいで50%50%、右に回すほどパルス比が付きます。(最大5%95%)

※矩形波に作用するので、1段目のWAVEFORMが右いっぱいに回った状態だと音が変化しません。

※「TB-303は66%固定」とのことです。

VCA SMOOTH - 音を滑らかにします。

※「左いっぱいに回すとTB-303と同じ設定」とのことです。この状態だとクリック音が出ます。


DISTORTION / ディストーション。

HP - ハイパスフィルターです。

DRIVE - ディストーションの強さです。

TONE - 音の明るさです。(緩やかなローパスフィルター。)

VOLUME- ディストーションのボリュームです。



3段目

定番の空間系、DELAYとREVERBです。



4段目

SEQUENCER(シーケンサー)です。演奏パターンを作ります。一番たのしいセクションです。


SEQUENCER - 消灯させると鍵盤やピアノロールで音階を演奏できます。

PLAY/PAUSE - パターンを演奏します。

Ch 2 TRANSPOSE - 移調度を表示します。Ch2のノートで移調できます。

※ピアノロールで打ち込む時はカラーを変えます。

PATTERN LENGTH - 演奏パターンの長さを1~16で指定します。例えば、4にすると1~4までを繰り返し演奏します。

BPM - INTERNAL BPMを点灯させると指定したテンポで演奏します。消灯時はFL STUDIOのテンポで演奏します。

SHUFFLE - 跳ねさせます。


PITCH/OCTAVE - マウスや方向キーで音階を設定します。右端の▲ボタンを押すとシーケンサーが拡張されます。

GATE - ONになっている箇所を演奏します。(つまり、OFFは休符です。)

SLIDE - ONになっていると再トリガーせずにスライドさせます。同じピッチの場合は音が長くなります。

ACCENT - ONになっていると強調します。1段目のACCENTで強調度合いを設定します。


CLEAR - 演奏パターンを初期化します。

+OCTAVE- - 演奏パターンをオクターブ単位でトランスポーズします。 



言うまでもなく、Transistor Bassのシーケンサーよりもピアノロールの方が高機能です。

でも、Transistor Bassのシーケンサーは1小節/16ステップに真剣に向き合える気がします。

この感じが楽しいですね。


そして、Transistor Bassだからこそできる楽しみもあります。

複数のプログラムを組み合わせた演奏です。

鍵盤を弾きながら組み合わせを探るのが楽しいです。


ドラムはFL STUDIO付属のFruity DrumSynth Liveです。

レトロなドラムパターン想定して打ち込んでみました。


最後はULTRA ANALOG VA-2の記事の曲のイントロのベースラインを移植してみました。

CUTOFFをオートメーションしています。スムーズに動きます。


今回はプリセットのプログラムを切り替えて組み合わせましたが、

自分で作ったアルペジオを演奏して組み替えるのは昔からやっています。

思いがけないフレーズが産まれたりするので楽しいです。



※この記事は2016年9月14日現在の情報です。

Transistor BassはBeta版に入っているプラグインなので、機能が大幅に変わる可能性があります。